格落ち(評価損)について
格落ち・評価損とは
交通事故で車両損害を被った場合に、保険会社は修理費の分はすんなり払ってくれると思います。
しかし、修理をしたとしても完全に修理前の状態に戻るという事はあり得ず、外観や機能に問題が残る場合が考えられます。
このような修理歴のある車両はどうしても市場において敬遠されてしまい、その分市場での価格価値が下落する事が考えられます。
この下落した価値の部分を格落ち・評価損と言います。
格落ちの判例は?
過去においては、判例は格落ちについては積極的に認めているとは言えず、原則的には消極的にとらえていたようです。
「修理がされた以上原則として、原状回復がなされたと考えるべきであり、事故歴のみをもって客観的な価格の下落は肯定すべきではなく、肯定することは買い替えが正当でない場合にも買い替えを認めたのと同一の不当利得を被害者に与える結果となる」 (東京地判1991年2月7日)
「事故後も当該車両を使用し続ける場合には、この損害は何ら現実化しておらず、潜在的・抽象的な損害の域をでない」 (大阪高判 1993年4月15日)
本件事故前に第一審原告が被害車両を買い換える計画がなかったことが認められ、また、近い将来に被害車両を転売する予定であること、その他、減価を現実の損害として評価するのを相当とする事情についての主張、立証はないから、右のような減価があるとしてもそれは潜在的・抽象的な価格の減少にとどまり、同原告に同額の現実の損害が発生したものとは認め難い。」 (大阪高裁平成5年4月15日)
ただし現在の傾向としては、むしろ認められる判例が多い傾向にあります。
(修理費の10%~30%を格落ち損害としているものが多いです。中には高級車等で50%認めた例もあります。)
保険会社は格落ちをすんなり認めてくれる?
保険会社が格落ちについて、すんなり認めてくれる事はまずないと考えた方がいいように感じます。
「当社の規定で払えない事になっている」等、うやむやにされてしまうことが多いと思います。
その場合には客観的な証拠資料を作成し、保険会社に請求するのが王道だと思います。
専門家に証拠資料の作成依頼をすると費用割れしてしまうことがありますが、弁護士費用等特約が付されている場合には費用割れのリスクを回避できることもあります。
物損事故においては、訴訟も視野に入れ、弁護士に証拠資料作成を依頼する事で格落ちを認めさせる可能性が高まると思います。
関連記事 |交通事故問題解決サポート
■ 請求できる相手
■ 請求できる範囲