物損事故における、賠償請求相手について
1 誰に請求できるのか
物損事故においては、自賠法が適用されませんから、請求については不法行為として民法709条、719条、使用者責任として、715条が考えられます。
これらの条文から、物損事故においては、事故を起こした加害者自身、数人が共同行為によって事故を起こした場合の各自加害者、事業のために他人を使用する者(会社において、被用者が起こした事故につき、会社が責任を負う場合等を想定して下さい)、使用者に代わって事業を監督する者(現場における監督者等)が考えられます。
相手方加害者が任意保険がある場合には、積極損害分については問題はないのですが、相手方加害者が任意保険に加入してない場合には直接加害者に請求する事になりますから、請求相手を知っておかなければなりません。
2 根拠条文
民法709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法719条(共同不法行為の責任)
1 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2 行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。
民法715条(使用者等の責任)
1 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りではない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前2項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
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■ 請求できる範囲