過失割合・相殺
著しい過失・重過失について
交通事故において過失相殺を考える場合に、まず基本割合である過失相殺率を考え、そこから修正要素を考えていきますが、その修正要素については「著しい過失」又は「重過失」という概念が多用されています。
修正要素である「著しい過失」・「重過失」とは具体的にはどのようなものを指すのかを知っておくことは、過失相殺を考える上で重要な要素のひとつであると考えられます。
著しい過失とは
『著しい過失』とは、抽象的には通常想定されている程度を超える過失のことを指します。
具体的には、最近では一般的になったカーナビを注視した事によって起こった事故、携帯電話を使用しながらの運転(ハンズフリーでの通話に対して、条例により罰則がある県とない県がありますが、やはり通話しながらの運転に関しては注意力が散漫になる点が危惧されます。また、手に携帯電話を持って話ながらの運転は道路交通法71条5号の5により禁止されています。)ハンドル・ブレーキの著しく不適切な操作、酒気帯び運転、法定速度に比して時速15km以上30km未満の速度オーバーが挙げられます。
重過失とは
『重過失』とは、著しい過失よりも更に過失の程度が重く、『故意』に比肩する重大な過失を指します。
具体的には、酒酔い運転(簡単な説明はこちら)居眠り運転、無免許運転、法定速度に比して30km以上の速度オーバー、過労・病気・薬物等の影響による正常な運転が出来ない恐れがある場合(道路交通法66条)が挙げられます。
以上のように、『重過失』は相当重大な過失である事が理解できると思います。
道路交通法66条
何人も、前条第1項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
道路交通法71条5号の5
自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第120条第1項第11号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。第120条第1項第11号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第41条第16号若しくは第17号又は第44条第11号に規定する装置であるものを除く。)に表示された画像を注視しないこと。