交通事故による各種外傷

脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)

交通事故の衝突による衝撃によって、むち打ちと診断された場合に、頸部周辺(首周り)の痛みの他に、頭痛、嘔吐、吐き気、視力低下、耳鳴り、めまい等の症状が続く現象があります。

これらの現象は主に、起立時に発生する事が多いと考えられています。
(臥床時にも頭痛が発生することもあります。)

何故、これらの症状が発生するのかは医学的にも今だ統一的な見解がなされていないのですが、有力説では、脳脊髄液の減少により脳の浮力状態が弱まり(本来は、脳脊髄液がクッションの役割を果たしている)、起立する事で脳が重力により下方に偏位してしてしまい、この際に血管等の器官が圧迫されたり、伸展する事によって疼痛や各種症状が発生すると考えられています。

現状ではどのような治療がなされるのか

治療法としては、安静臥床や、輸液などの保存療法がまず行われます。

それでも改善しない場合には、硬膜外に自己血を用いた『ブラッドパッチ』が実施されることが有効とされます。
しかし、この治療法は、比較的新しい方法であり、医者の間でも意見が分かれている治療法である。
メリット・デメリットをしっかりと理解した上で、治療を行う必要があります。

髄液が漏れ出している場合には、かなりの効果を上げている治療法であります。

ただし、整形外科領域では硬膜外血腫を作る可能性がある、との指摘があるなど、デメリットも理解しておくべきです。

その他には、生理的食塩水硬膜外持続注入法や、神経根部分でのはっきりとした異常が認められれば手術が行われる事もあるようです。

交通事故の現場における現状の問題点

現状の問題点としては、脳脊髄液減少症のための治療が、健康保険の対象となっていない事である。

この事によって何が一番問題であるかと言えば、保険会社が原則として治療のための費用を認めない点にあります。

つまり自己負担によって、治療を受けなければなりません。

最近の判決では、治療の必要性が認められる例もありますが、健康保険の対象とならない限り保険会社からスムーズに治療費が支払われる事は困難であると考えられます。



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