交通事故による各種外傷
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder)とは心的外傷後ストレス障害等と訳されています。
交通事故による強烈なショックにより、事故後にフラッシュバック等により、精神的なストレス障害を起こす場合があります。
いわゆる「心に傷」を負ってしまった状態です。
アメリカのベトナム戦争帰還兵の精神的障害が問題となりクローズアップされたという経緯があります。
非日常的な強いストレスが基になり、精神的障害を引き起こすと考えられています。
世間的には地下鉄サリン事件後に、テレビや新聞などのメディアで繰り返し報道された事で、PTST、心的外傷後ストレス障害として広く一般的に認知されている病気かと思います。
主な症状としては、フラッシュバック(何度も同じ事故の体験を繰り返し思い出してしまう)、回避(事故の状況から連想されるものを避ける)、麻痺(無気力になり、感情が鈍くなっている)、過覚醒(神経が高ぶり、感情の起伏が激しい、眠れない)等の症状があります。
PTSDの治療について
精神療法や薬物療法などがありますが、どのような方法でも、長期的なスパンで治療していくという考えが必要であると言われています。
また、不治の病とは考えられておらず、一定期間後に治癒や症状の改善も認められるものと考えられています。
判例におけるPTSD
判例によってPTSDとして認定された判例はいくつかあります。
しかし、客観的に認定するのが難しいせいか、14級以外の後遺障害の等級として認定されるには、裁判によらなければ認定されづらいものだと考えられます。
認定基準として、米国精神医学会(APA)によるものと、世界保健機構(WHO)による基準が主に考えられています。(判例では、APAによるDSM-Ⅳの基準に基づくものが多いようです。)
最低限認定基準に掲げている基準を満たす必要があります。
現在の判例の多くは、PTSDを認めない傾向にあります。
PTSDを認めず、単なる外傷性神経症の14級として認定されてしまうことは、自賠責の基準となんら変わりません。
真にPTSDとして苦しんでいる方にとっては、14級程度では等級認定として、とても低いと考えられます。
7級として認められた判例もありますので、どうしても個別的事情による部分が大きいと思われます。